東京地方裁判所 昭和46年(特わ)624号 判決
被告人
本店所在地
東京都文京区小石川二丁目二二番一〇号
有限会社
吉本製作所
右代表者代表取締役
吉本久雄
本籍
東京都文京区小石川二丁目三番地五
住居
同区小石川二丁目二二番一〇号
職業
会社役員
吉本久雄
明治四四年七月二一日生
被告事件
法人税法違反
出席検察官
宮本喜光
主文
1 被告会社有限会社吉本製作所を罰金二〇〇万円に被告人吉本久雄を懲役四月にそれぞれ処する。
2 被告人吉本に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社有限会社吉本製作所は、東京都文京区小石川二丁目二二番一〇号に本店を置き、拡声器用レザー張ケース、ラジオキヤビネツト等の製造販売等を営業目的とする資本金一、二〇〇万円の有限会社であり、被告人吉本久雄は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人吉本は、被告会社の業務に関し法人税を免れようとくわだて、架空仕入を計上して簿外預金を蓄積する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四二年四月一日から昭和四三年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三〇、〇八〇、六二〇円あつたのにかかわらず、昭和四三年五月三一日東京都文京区春日一丁目四番五号所在所轄小石川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、九五九、六七四円でこれに対する法人税額が一、八二九、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の正規の法人税額一〇、二六六、七〇〇円と右申告税額との差額八、四三七、五〇〇円を免れたものである。(なお右所得の内容は別紙一の修正貸借対照表のとおりであり、税額の計算は別紙二の税額計算書のとおりである。)
(証拠の標目)
一、 登記官作成の登記簿謄本
一、 大蔵事務官作成の次の書面
1 簿外預金残高等調査書
2 割引商工債券調査書
3 簿外売上調査書
4 減価償却計算書
5 未払費用(未納事業税)調査書
6 繰越利益金等調査書
7 検査てん末書(第一銀行十条支店)
8 右同(武蔵野銀行蕨支店)
9 右同(三井銀行日暮里支店)
10 右同(三井銀行王子支店)
一、 次の者作成の上申書
1 吉本定雄
2 協和空圧工業所白石圭佑
3 佐怒賀由夫
4 宏栄製作所松浦宏
5 有限会社吉本製作所営業部長吉本賢三
6 兵藤正一
7 桑原化粧合板株式会社代表取締役桑原利夫
一、 次の者作成の証明書
1 株式会社埼玉銀行蕨支店長岡村均
2 荒川信用金庫町屋支店長関義一
3 エイト電化株式会社取締役社長兵藤正一
4 小石川税務署長東条輝雄
一、 吉本定雄、上岡賀寿雄に対する大蔵事務官の各質問てん末書
一、 吉本定雄の検察官に対する供述調書
一、 押収してある次の証拠物(昭和四六年押八五〇号)
1 法人税確定申告書一冊(符号2)
2 法人税決議書一綴(同3)
3 総勘定元帳二綴(同9、10)
4 仕入帳二綴(同11、16)
5 納税関係領収書綴一綴(同12)
6 振替伝票綴一綴(同14)
7 元帳一綴(同15)
一、 被告人吉本に対する大蔵事務官の各質問てん末書
一、 被告人吉本の検察官に対する各供述調書および当公判廷における供述
(法令の適用)
被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、被告人吉本につき同法一五九条(懲役刑選択)、刑法二五条一項(主文2)
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 松本昭徳)
別紙一 修正貸借対照表
有限会社 吉本製作所 昭和43年3月31日
〈省略〉
〈省略〉
別紙二 税額計算書
有限会社 吉本製作所
〈省略〉